京都&海外まち歩き〜通訳案内士カルラの日記〜

京都のおすすめ、国内外の旅で見たこと感じたことをお伝えします。

箱根観光day1 〜観光客にも優しい地元のお祭「宮城野諏訪神社」〜

昼前に箱根・強羅に着く。

宿に荷物を置いて、インターネットで見つけた神事「宮城野諏訪神社」にある「湯立獅子舞」を見に出かける。

初日に、この箱根の観光マップにも載っていないお祭りを見に行って、「優先順位間違ってるかなあ?」と若干の迷いもありつつ…強羅駅へ。

 

警備の人に道を訪ねると、神社を知らないと言う。警備の人が同僚に聞くと、「諏訪神社ね。」と言ってくれたので、神社の存在を知って安心した。

バスが来るまで40分あるから「歩いていこうかな」というと、「暑いしね。歩くと20分はかかるし、坂道だし、やめといたほうがいいよ。日陰でバスを待っててね」と歩くのは全くオススメではないみたいだった。

アドバイス通りに、強羅駅にあった3、4軒のお土産屋さんをのぞいた後は待合室に座って待つ。徒歩20分とバス3分を比べたら、待ったほうが賢明だ。

 

やがてバスが来た。警備員の人が教えてくれた「宮城野営業所前」で降りる間際に、

運転士さんに「宮城野諏訪神社はどっち方面ですか?」と聞いた。運転士さん、場所を知らず…。「ああ、これから行く諏訪神社はどれだけ無名なんだろう。お祭り、やってるのかな…」と一抹の不安がよぎる。

運転士さんはバスを停めて、営業所の人にトランシーバーで神社を確認してくれた。運転士さんの優しさと、渋滞を少なからず作っている状況に恐縮する。

 

結果、「次のバス停だよ」と言われる。「宮城野」というバス停で降りる前に、神社を示す矢印を発見。運転士さんにお礼を言ってバスを降りる。

矢印を進み、「なんとなくこっち(が本通りっぽい)」と進み、祭りののぼりを発見し…無事到着。

 

神社境内に着くと、地元の人だけではなく、カメラをかかえた人たちもいて、「ああ、部外者1人じゃなくてよかった」と安堵した。神事を見学して1時間経ったところで

「神事を終わります」と司会者が言う。

「あれ?獅子舞に間に合わなかった?」…おそるおそる、近くの人に「獅子舞、終わってしまいましたか」と尋ねたら「これからだよー」と笑われた。ああ、よかった。

 

舞の準備をしている間に、私と隣にいた女性に、地元の人から声をかけられた。「お茶もらった?」

「いいえ」と答えると、ペットボトルのお茶を「今日は暑いからぜひ飲んで」と差し出された。「どこから来たの?」と聞かれて「京都です」と答えると、遠いところからわざわざありがとう、と言われた。もう1人の女性は小田原からだそう。

こんな風に話かけてくれて優しいなあって思っていて…そうしたら、舞が始まる前に、直会のためにお神酒が配られた。神事に関わっている人だけじゃなくて、その場にいる私たち観光客にも。総代の男性が「観光客の方も見に来てくださりありがとうございます」とマイクで一言添えて、みんなで乾杯。一体感というか、歓迎してもらえて、なんだかとても嬉しかった。

 

「あそこに並んでいる椅子は来賓用じゃないから、座って舞を見たらいいわ。」と勧められる。遠慮なく、座らせてもらうことにした。舞が2時間も続くとは思っていなかったから、本当にありがたかった。地元の女性も私の隣に腰かけて、祭りのこと、箱根のことを話してくれた。

 

獅子舞は江戸時代に始まって、国の無形文化財に指定されているそうだ。去年から文化庁の調査が始まり、5年かけて調査するという。記録に残して、伝統文化をつないでいくのだそうだ。幸い、小学生の男の子たちが去年から舞の練習に加わったそうだ。

私にもし子どもがいたら、地域の文化行事にはどんどん参加して欲しいなあって思う。

 

舞台での舞、境内での舞、湯立の舞…と舞を堪能した。

バスは1時間に1本しか走っていないので、舞を見て1時間過ぎたころに「いつ終わるのかな?」と思い始めた。でも、「ゆっくり見て行ってね」と総代の方に声をかけてもらったらありがたくって、「時間を気にしていたら損だなあ」と思い直す。

「あの〜。今、湯立ての舞が始まってクライマックスだと思うんですけれども、バスが3時半の次は4時半になるので、途中だけれどあと5分で失礼しようと思います」と隣の地元の女性にあいさつをした。すると、「1時間に1本しかないのよね。強羅まで近いから、車で送っていってあげますよ。最後まで見て行ったら?」と。なんて親切なんだろう!! 

 

すっかりお言葉に甘えて、湯立獅子舞を見終わって。最後にもう一度、神様からのお下がりのお神酒で乾杯をした。本殿をお参りして、そしてお赤飯のおむすびやビール、おつまみなどをもらった。

 

「さあ、帰りましょう」と地元の女性が言い、私と小田原の女の子がついていく。

「送っていただく身で言うのも恐縮ですが、こちらの女の子も強羅駅まで行きたいそうです。一緒に車に乗せていただけませんか」と聞いたのだ。自分だけ車に乗せてもらって、小田原の女の子がバスを待つのは気が引ける。「もちろん、いいわよ」と言っていただけて、「ああ、聞いてみてよかった。」と思う。

 

帰りがけに、総代に「京都から来たお嬢さんに、今日の記念にこちらを差し上げましょう」と、先ほどの神事に使われたお祓いの品が!! 

 

いつの間にか、地元の人たちは、私が京都からやって来たということを知っていた。

なんて温かい人たちのお祭りなんだろう!!と感動しちゃった。

ありがた〜く受け取った。来年、新年を迎えるまでおうちに飾っていたらいいそうだ。とっても嬉しい。それに、このお祓いを持っていたら、私の旅は安心安全のお守り間違い無しな気がする。

 

車で送ってもらう時に、大文字まんじゅうを売る和菓子屋さんを指して、「ここは総代のお店ですよ」と教えてもらった。

 

ああ、来てよかったなあ。

車で送ってもらったおかげで、強羅駅まですぐに着き、ロープウェイの乗って大湧谷まで行って来た。大湧谷滞在時間10分だったけど、バスだったら間に合わなかった。

お祭りの後、名所も一つ行けて、大満足して宿へと戻った。