京都&海外まち歩き〜通訳案内士カルラの日記〜

京都のおすすめ、国内外の旅で見たこと感じたことをお伝えします。

京都8時間観光@清水寺、錦市場、御所

8時半にシェラトン都大阪ホテルで集合。

京都から、6時の始発バスで出発して8時に到着。ああ、今朝早起きできてよかった。

時間に間に合った時点で70%合格、20%が観光の内容で、10%がランチの反応、って唱えて、「明日の行程シミュレーションするより早く寝よう」と思ってます。

最初から遅刻だなんて印象悪過ぎてできないけれど、早起きは苦手だから。

 

今日のお客さんは、シニアのご夫婦。ミラノのマルペンサ空港から車で5−10分のところに住んでいるとのこと。「色々旅行したけれど、長旅をするのが疲れてきたから、多分今回の日本が最後の長旅だと思う」と話していた。

 

リストをもらって、清水寺錦市場、御所へ行くことに。銀閣寺は地図を見て「遠い」から行かないというので「金閣寺を見たら十分だよ。銀があるわけじゃないから」と伝えた。

 

谷町九丁目から天満橋まで谷町線に乗って、京阪に乗り換え。乗り換えの駅を目で探しつつ…近くてよかった。初めてなんて言えないから、見栄を晴れてよかったよかった。

京阪の40分、座って移動できてラッキーだった。

 

9時40分に祇園四条到着。バスに乗って清水道へ。2日前にも来ているので、安心して案内できる。新米ガイドにとってもありがたや〜。

 

ご夫婦は3人お孫さんがいて。1歳半のジョルジアちゃん、10歳の男の子と13歳の女の子。ジョルジアちゃんのお母さん(娘)がラウラさんで、お父さん(婿)がマルコさん。ジョルジアちゃんは週に一回家で預かっているそうで、携帯に写真を貼っていた。ラウラは多分病院勤務でシフト表を見せてもらって「今は仕事中だから電話できないわ」という。だいたい7−16勤務で、たまに15−17の2時間というのがあった。フレキシブルでいいな〜。

 

清水寺でのお土産屋さんでは、ジョルジアちゃんにハローキティのTシャツ、タオル。

女の子に舞妓のキーホルダーとキティちゃんのタオルセット(フェイスタオルとハンドタオル)、男の子に侍のTシャツ(刀は前回日本に来た時に2本買ったそう)、その他こけし、ちりめん細工のおみせでかばんにつける小物を2つ…思いついたものを買ってショッピングを楽しんでいた。

ランチョンマットとかテーブルセンターも欲しい…と言っていたけれども、どこにあるのか分からなかった。

 

こちらのご夫婦は、20年前にだんなさんがビジネスで大阪へ、35年前に奥さんが観光で京都、奈良へ来たことがあるそう。街並みは変わったかどうか聞くと、だんなさんは「大阪の中心地は昔も今もクレイジー」って言ってた。そうなのかな。

 

清水寺は今日も修学旅行生などで賑わっていて、「1年で500万人が来るよ」と伝えたらびっくりしていた。写真を撮りながら…といっても奥さんの写真の撮り方は、イタリア的な?それとも年代なのかな?「ああ、もうちょっと右…」とか私のおばあちゃんだったらつい言ってしまいそうな感じ。

構図とか口では理想を言うのだけれども、後ろから画面を眺めていると他人の手が入っていたり、建物のどこかが欠けていたり、どうしても「はい、とりあえずシャッター押しました」という感じが抜けない。それでも奥さんはとっても満足。だんなさんが一眼レフでしっかりカメラに納めているし、奥さんは撮りたいものを撮りたい時に撮るんだろうな。

 

写真の撮り方とか情熱は中国系の人たちが一番な気がする。

海外旅行へ出かけて、西洋人に写真を撮ってもらおうとすると「ナイス!」と言われて、その場で写真を見るとおもいっきり焦点がぼけてたりするもん。

アジア系の人たちは、立ち位置の指示とか教えてくれて、何枚か写真を撮ってくれたりする傾向があり、同じアジア人として信頼しちゃうわ。

 

そもそも、70代で観光に写真を撮ること自体すごい。うちの母なんて「機械はちんぷんかんぷん」と言っているくらいだし。イタリア人ではシニア層もスマホが登場したらすぐにスマホを活用していたし…らくらくスマホなんて、存在しないんじゃないか。新しい技術が登場する時に、年齢の壁は圧倒的に低い、そんな印象を持っている。

 

今回のお客さんは、歴史への興味はあまりなくってありがた〜い。一番興味を持ったのは「愛子さまは天皇になれるか」という質問に対して「今のままではなれません。昔は女性の天皇もいましたが」と答えると「じゃあ、皇太子さまの次は誰がなるの?」「弟かな」というと「なるほど!その次は?」「弟のお子さんです」「ほほ〜!娘さんは天皇になれないのね。エリザベス女王とは違うのね」…こんな感じ。

あとは、清水寺でも錦市場でも御所でも「ふ〜ん」って私のつたない説明を聞いてくれた。

 

祇園」をツアーで案内する時、それはたいてい「花見小路」を意味する。時間がないとその通りだけか、自由時間に祇園を回ってもらう。でも、自分たちだけ…だと石塀小路にたどり着くのは偶然できるかどうか。その他、八坂の塔、宮川町、京都に住んでいれば当たりまえの「八坂神社」でさえ、素通りになる。

 

清水寺の後、三年坂、二年坂、石塀小路、八坂神社と歩く時、ご夫婦は「祇園ってこんなに素敵なところなのね!!」と何度も感嘆の声をあげてくれた。とっても嬉しい。

 

お昼はマルイ8階にある「焼肉まる富」へ。

yakinikumarutomi.com

 

これまでのお客さんは総じて刺身よりもお肉が好き。前日下見に来たら、8階のお店はきれいなのにどこも空いている。経営が心配になるくらいに。値段も7階は1000円代で8階は1,000円もあるけど2,000円くらいで許容範囲。ガイドのお昼代支給も1,500円なので、これを目安にして…オッケー。ここにしよう!と思った。

金額にいとめをつけず、懐石が食べたいとかいうお客さんに出会うこと、私にはあるのかしら?

マルイのいいところは肉が嫌ならおそばも、丼も、回転寿しもあるところ。他の選択肢もあるって便利なんじゃなかろうか?

 

お客さんは「もちろん、お肉にしましょう」と言ってくれたので店内へ。

3人揃って焼肉ランチA(牛舌・カルビ・ロース) 1,980円を注文。

目の前で自分で焼くスタイルは「やったことがない」と興味を持ってくれた。

 

運ばれてきたお肉に「牛タンだよ」と言ったら「オーノーノー。タンなんて食べないわ」と奥さんが言われた。「あ、しまった!!」と心配になる私。「タンを豚肉に変えましょうか?」と聞くと「牛肉がいいし、あと2種類来るなら待ってるわ」とのこと。

「食べられないものばっかりだったらどうしようかな」と不安がよぎる。だんなさんは気にせず、ちゃっちゃと焼いて食べている。奥さんはサラダが来たら「これはなに?この味付けは?」と聞くので「ラディッキオ、海苔、キャベツ…」「ごま油と醤油ベースのドレッシングです」と答えては「ふーーーん」。カルビとサーロインが来た時には

「脂がいっぱいね」と言うのでまたまた食べられないんじゃないか…と不安でいっぱい。「脂とお肉がミルフィーユみたいになっていて、脂があるから柔らかいんですよ。神戸牛はそれで、舌がとろけるようになってます。」「神戸牛は脂が多いの?」と聞かれたので「アンガス牛とかビステッカフィオレンティーナよりも脂は多いと思う」と答えて…でも結果全部焼いて食べてた。

最後に「ドルチェは?」と聞かれ、メニューを聞くと「ほうじ茶プリン」と「ブラウニー」一個はほうじ茶だなんて、イタリアに無いものだし、チョコレートケーキなんていたって洋風だし…「ほうじ茶プリンはおいしいけれど、好みに合うか分からない」と奥さんに伝えると「食べてみないと好きかどうかも分からないしね」と注文することに。

プリン3つと答えると2個しかないという。なので、プリン2つとケーキ1つ注文。

運ばれてきたほうじ茶プリンには「黒蜜」がついてきた。黒蜜を説明するとすぐにプリンに2人ともかけようとするので、「黒蜜だけ少し食べてみてね。砂糖とは違うし、味が独特だから」と待ったをかけて味見してもらったら…「buono!!(おいしい!)」と奥さんから。あーーよかった!!2人とも黒蜜全部をプリンにかけた「すっごいおいしい!!」だって。ああ、よかった…!!!結局、奥さんのベストは焼き野菜のかぼちゃだった。「甘くてとってもおいしい」とのこと。万願寺とうがらしは、ピーマンが嫌いなご夫婦は食べず、えのきは見たことも無いきのこだったので食べず…。だんなさんは、嫌いなもの以外は全部食べて「お腹いっぱいだ」と言ってた。お肉にしても「最初などうかな?と思ったけれど、食べてみたらおいしかった」とのこと。ホッとした。

でも、自分で昼食の場所を案内するのはすっごい気を使うな〜。私、全部食べたけど、基本的に食べるの遅いのに、ガイドが一番遅いなんてなんとなくいけないような気がするから早く食べようとしてたし、お客さんの反応は気になるし…絶対消化できてないわ〜。

 

気は使ったものの、個人的にランチは美味しかったと思う!店員さんも親切だし。お肉と焼き野菜のお皿はきれいだし、お腹もいっぱい。テーブルも椅子も広々していたし。

 

その後錦市場へ行った。魚屋さんのお店で、奥さん甲殻類が全てダメ、刺身もなので興味なしと聞く。知らなくて「金沢ではお魚、お刺身がおいしいよ〜」とか言っちゃったじゃーん。知らなかったら言わなかっただろうな〜。「焼き魚なら…ということで、オラータはあるか?」と聞かれ「鯛だっけ?」と心で思い「あるある。鯛の塩焼きおいしいよ!」と言ってもらってから、後で辞書でオラータを調べる始末…。幸いあっていて安心する。肉の部位を聞かれ、魚の種類を聞かれ…今日の教訓は「食材をちゃんと言えるように語彙力をつけること」だな。30分くらい錦市場を歩いて、御所へ向かった。

 

そして…今回一番ショックだったこと!!

御所参観が目の前で閉まってしまった!!!

平静を装いつつも、心臓がずーんと重くなった。そして、

・閉門時間に余裕を持ってくればよかった

・直通バスじゃなくて乗り換えしてもいいから来たバスにすぐに乗れば良かった

・御所を最初に回ればよかった(錦市場清水寺も18時までだし)

後悔の嵐😭

「3時20分までです」と言われて時計をみたら3時23分。

宮内庁が厳しいのは重々知ってても、「ダメですかね?」「ダメですね」「明日帰っちゃう友人なんですが…」「それでもダメですね」「彼らも5分だけ、と言ってるんですが…」「無理ですね」。ダメなのはダメ、はい、すみません…。

 

4時まで開いている閑院宮家へ。小ちゃいけどpalazzo imperialeの一つということで出かける。

宮内庁によると「閑院宮伏見宮家、桂宮家、有栖川宮家と並ぶ四親王家の一つで、1710年に東山天皇の皇子直仁親王を始祖として創立され、公家町南西部のこの場所に屋敷を構えました。創建当初の建物は天明の大火(1788年)で焼失し、その後再建されていますが、現在の建物との関係など詳しいことはわかっていません。

明治2年の東京遷都に伴い、閑院宮が東京に移られてからは、華族会館や裁判所として一時使用され、御苑の整備が一段落した明治16年、宮内省京都支庁が設置されています。」とのこと。

 

ここには、鏡のように磨かれた床があって、もみじが美しいという部屋が見どころ。落ち着いた雰囲気でいい場所。そして、その隣にある出雲大社のちっちゃい版も日本らしくて私は好き。

 

だけど、好き嫌いとかじゃなくて、御所は素晴らしい!と言われるよりも「質素」「二条城の方がきれい」「中に入れないの?」と言われることが多い…とかじゃなくて、「予定したのに入れない」とか、「彼らが御所に来ることは一生ないのに入れない」ということが残念すぎる〜!!ごめんね。次はうまくいくようにがんばる。

 

ここを訪ね終えて、ホテルまで戻る。

電車では「眠い」と言いつつも、おしゃべりをした。イタリアのこと、市役所での仕事のこと、家族のこと…。本当に優しいいい人たちだった。

 

奥さんは「今から京都まで戻るの?」と気づいて「ここからホテルまで自分で帰るわ」というけれども、歩いて5分のことなので「慣れているし、心配ありません。ホテルまで送ります」と伝えて…ホテルロビーで荷物が届いているか聞いた。

 

ホテルのスタッフの人が探してくれるんだけれども、どうやら届いていなかったようで…。待っている間に「ちょっと移動してくれますか」とホテルの別の受付の人が言う。そりゃ、3人並んでいる分のスペースを取っているけれど、この態度は正直いただけない。受付は横に長いのだから、自分が動けばいいだけの話。さらに、並んでいる人がいると思って言われたのだろうけれど、実は誰も並んでいなかったのだから、それに気づいたら「失礼しました。大丈夫でした」とか添えるほうが親切。

 

「スーツケースが今晩着くようになっているかガイドさんに連絡しましょうか?」と聞いたら「大丈夫よ。着いたら分かることだし」とのお返事。電話したからと言って、スーツケースがより早く着くなんていう訳ではない。「自分の力ではどうにもならないことを嘆いても仕方ない」という考えの人たちだった。だから、御所行けなくてごめんねという時も「per niente(なんでもないよ)」というお返事なんだと思う。「午前中の散策は特に素晴らしかった」と言ってくれたしね。

 

エレベーターでお見送りする時に、チップをもらった。お礼を伝えて「楽しい時間でした」と伝えると、「あなたは優しくて、とってもcarinaで、私たちも一緒にいて楽しかった」という言葉をもらった。「おうちに帰ったら写真を送ってね」「メールするわ」と言ってお別れ。

 

毎回出会って、お別れするのが寂しいなって思うくらいいい人たちだった。

ミラノに行ったら、あいさつとかしに行けるといいな。